岳人

 「岩と雪」が廃刊になってから、山関係の情報を得る為に「岳人」を買い始めた。
 随分長い間買っているが、「山と渓谷」同様マンネリ記事が多いので、そろそろ買うのを止め様かと考えていたが、何となくダラダラと買い続けていた。と言うのも、時々とても良い記事が載るからだ。
 5月号ではナカナカ良い記事が幾つかあった。
 まず、馬目弘仁の「ジャパニーズスタイルを目指して」。スコットランドで行われているクライマースミーティングに参加し、刺激を受けて、日本版クライマースミーティングを目指して行われた「ウインタークライマースミーティング第0回」。若く意欲のあるクライマーが集まって、これからのクライミングを語り合い、模索しながら実践する。こう言った企画が継続されるなら、日本のクライミング界の未来も明るいと思う。
 それから、池田常道の「現代アルピニズムのプロファイルfile.5」。「パタゴニアのビッグサマー」と題して、ローランド・ガリボッティとコリン・ヘイリーによるトーレ山群縦走の記録を紹介している。パタゴニアやセロ・トーレについては、今更説明の必要も無いだろう。トーレ4座の縦走は、この山群最後の課題とも言われており、あのフーバー兄弟も狙っていた。岩壁の登攀そのものはさして難易度の高いものでは無いが、やはり気象条件とライムアイス(スノーキャップ)の処理が核心だ。この記事では、セロ・トーレの開拓史年表が掲載されていたりして、この山の歴史が分かり易い。また、掲載された写真がどれも非常に美しい。コリン・ヘイリーはまだ23歳の若手だが、アメリカ登攀界の新星と目され、これからの活躍が非常に楽しみだ。
 その他にも「台湾・馬太鞍渓遡行記」や元雲表倶楽部の松本龍雄氏のインタビュー?「備忘録」も面白かった。

 フリークライミングだけしかやらない人には面白くないかも知れない。でも、狭い世界に閉じ籠らずに、自分の世界を広げてみるのも大事だと思う。クライミングにも色々あるって事や、先人の記録を読んで歴史を学ぶのも大切な事だ。
by kakera365 | 2008-04-22 22:19 | クライミング | Comments(0)
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