思い出の木

 それは誰にでもあるのでしょう。

 私の「思い出の木」は,ヤマモモの木です。小学生の頃、家の近くにあったこの木は,毎年初夏には実を鈴生りにして,近所の子供達のお腹を満たしてくれました。子供が10人以上も登り、それぞれ好きな枝にぶら下がっては、好き放題食べまくってました。ハッキリとは覚えてないのですが,太さは1.5m以上,高さも軽く5m以上あったのでは無いでしょうか。実の生っている間、1週間位は通って食べ続けた様に記憶してます。近所の子供達が1週間に亘って食べ続けられるだけの実を付けたヤマモモの大木。それは子供の私にとっては「マザーツリー」と言っても良かったと思います。学校が終わると家に帰ってビニール袋を貰い、あの木へ走って行きました。袋一杯の収穫を持ち帰り,家でジャムにしたり,ヤマモモジュース,ヤマモモ酒にしたりして,家族全員で存分に楽しみました。
 その木はその後、人口の増加で新しく中学校を建設する際,造成で伐られてしまいました。伐られた後を見て、とても悲しかった事を思い出します。もし,もう少し時代が遅ければ,近所で反対運動が起こったかも知れません。以来、色んな山に登ったりしてますが、未だにあれ以上の木を見た事はありません。
 今,その木のあった場所は駐車場になっています。時々前を通りますが,枝葉に覆われて薄暗かった空間も今は妙に明るく、何だか不思議な感じがします。でも,頬を撫でる風は,あの頃と全く変わってません。目を瞑れば子供達の声が聞こえて来そうです。

 あの頃は、結構身近に自然が存在していました。今でも都会の真ん中よりはマシですが、十分とは言えません。田畑や里山に行くにも、10分以上歩かなければなりませんし、何より子供達はそんな所では遊びません。日常的に自然に触れると言う事は、とても大事な事だと思います。虫取りをしたり、釣りをしたり、木登りをしたり。自分の子供達には,同じ経験をさせてあげたいと思いますが、それが出来ないのがとても悔しく、そして悲しいです。
by kakera365 | 2006-09-28 22:47 | Soliloquy | Comments(0)
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